tituti MAGAZINE

tomoko nagaike

#06 INTERVIEW 長池朋子

大学を出た後に、titutiとともに現在所属されている『機織工房しよん』に合流されたのでしょうか?

研究生の後は、大学でお世話になった細見先生のもとで仕事をしていました。着物、帯、タペストリー。だいたい二、三年くらいかな。まだ技術が足りないので教えてもらいながらですよね。先生が沖縄を離れることになってから個人の制作になりました。

その後、当時おきなわワールド内の『しよん』に作品を置かせてもらったり、お手伝いをしたり。初めはお手伝い要員で、その後にしっかり仲間になりました。

当時バブルが弾けたぐらいだったけれど、沖縄はまだまだ景気が良かったんですね。なので、おきなわワールドは大学出たての社会経験がない年代もみんな雇って、ここで織物やってくださいとか、紅型やってくださいみたいに若手に門徒を開いてくれた。

その後、2010年におきなわワールドから『しよん』は独立します。『しよん』の今のメンバー四人で南城市に工房を立ち上げたのですが、半年後くらいに台風で工房がつぶれ、2012年に新しい場所に引っ越し、そして今は素敵な古民家に引っ越しました。

当初はとにかく作りたかったので、工房は制作だけにしようとして販売を行わなかったんですよ。それが一番の独立の目的なので。ところが、大家さんが顔の広い方で「織物の工房の賃貸人がいるんだよ。見に行ってあげて。」といろいろな方に言っていただいたんです。そうしたら買わせてほしいという声が多くて。それで、やっぱり直で売ったほうが楽しいし、売り上げにもなるしということに気が付き、販売もする現在の『しよん』の形になりました。

※その後のtitutiとの出会いは第一回を参照

tomoko nagaike

頭の中の引き出しが、作りたいものとピッタリ合うようになってきてると思います。

非常にたくさんの技術を取り入れていますが、その都度研究をされるのでしょうか?

そうですね。織りたい技術を勉強したり織れる人に聞いたり。あと織物には組織図という図があるので、それが読めれば基本的には織れるんですね。楽譜みたいな感じなんですけど。

新しく織りの技術を選択するときには、なにか基準があるのでしょうか?

織りたいものによって選択をするという感じかな。

こういうのを織りたいけれど、これにはどういう技術で表現するのがいいかなとか。たまには技術から入ることもありますね。これが織りたい、じゃあこれで何を作ろうかっていう時もあります。大概はスケッチブックで書き始めて色々考えてから。

織りというと非常に緻密な印象がありますが、イメージを形に起こしていくというのはスムーズに出来るのものなのでしょうか?

はい、出来ます。大体は頭の中。やはり作ってる量がすごいので、いつの間にか培われたんじゃないでしょうか。頭の中の引き出しが、作りたいものとピッタリ合うようになってきてると思います。さすが二十年もやっていると、いつの間にかそうなっているんですね。

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工房にお伺いした時に黒に染めることに苦労されていましたが、やはり色を作るというのは難しい。

黒が染まらないですよね。なかなか黒にならないんですよ。黒でなくても、自分で思い描いた色がそのまま染まるっていうのは難しいです。過去の情報は全部記録しているのですが、全く同じにしても同じようにはならないです。温度やほんの少しの水加減や時間だったり。だから好きな色に染まったときは、すごい嬉しい。

長池さんの作品には、色彩がモダンに感じる部分や深みを感じる色合い、また伝統的なニュアンスも感じられる部分もあり、とても楽しいと感じています。最後にこれからの工芸に対する想いや、ご自身が進んでいきたい道などありましたら、ぜひお聞きしたいと思います。

工芸の入り口的なものは作れてきてたと思うんです。若い方にも手を取ってもらえるとか、手の取りにくい工芸品から手の取ることのできる工芸品に。

でも私の年齢も経ってきたし、これからは逆にもっと工芸品らしい工芸品。そこで今何を作りたいかとかは出てきていないんですけれど。なんだろう、結局はいつも模索ですね。

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